円と資産 2009 9 12
数年前、いや10年近く前だったでしょうか。
よく、このようなことが言われていました。
私の知人たちも、同じようなことを言っていました。
「日本政府は、巨額の借金(財政赤字)があるから、
円が売られ、やがて大幅な円安になる」と。
あれから10年近くなりました。
結果は、どうなったのでしょうか。
こうした理屈が、どうして間違いなのか。
それを考えてみましょう。
確かに、日本政府の借金は巨額です。
これだけ見れば、すぐにでも破産しそうです。
さて、こうしたものは、スケールが大きくて、
わかりにくくなっていると思います。
もっと身近なもので考えましょう。
あなたは、いくら借金があるでしょうか。
1000万円でしょうか。
あるいは2000万円でしょうか。
いや、それ以上でしょうか。
個人で、これだけ借金があれば、すぐにでも破産しそうですね。
でも、あなたは破産しないでしょう。
あなたには、マイホームという資産があるからです。
日本政府にも巨額の借金がありますが、
同時に、巨額の資産があります。
それに、もうひとつ。
そもそも、円に対する評価は、
日本政府の財政だけで判断するものではありません。
円に対する評価は、日本政府、日本企業、個人金融資産など、
総合的に判断すべきものです。
そういうわけで、「日本政府には巨額の借金がある。
だから、円が売られ、やがて大幅な円安になる」というのは誤りです。
総合的に円を評価するというならば、
円安になるリスク要因として考えられるのは、少子化であって、
政府の借金ではありません。
少子化は、日本の命取りとなるでしょう。
だから、少子化対策は、最優先事項だったのに、
政府は、あちこちの政策に浮気をして、
結局、どれも、ものにならなかったのです。
少子化対策、これ一本に絞れば、
日本の風景も大いに変わったことでしょう。
もはや、後の祭りかもしれません。
私が、このサイトで、
少子化の問題を書いたのは、2003年ごろでした。
その当時は、この言葉自体、マイナーな言葉だったのです。
「『しょうしか』って、どういう漢字を書くのか」と、よく聞かれました。
あれから月日は流れ、結局、何も変わらなかった気がします。
憂国。
ああ、右翼でなくても、そういう言葉を使いたくなる。